九州焼酎島の平成29年焼酎蔵回顧
九州焼酎島では2017年、10蔵の焼酎蔵に取材しました。上下2回に渡って振り返りたいと思います。
芋焼酎「天狗櫻」の白石酒造(鹿児島県いちき串木野市)
まずは、鹿児島県いちき串木野市の白石酒造。芋焼酎「天狗櫻」のうまさの秘密は、無農薬、無肥料のこだわりの自家製芋。蔵代表の白石貴史さんには、芋畑にも連れて行ってもらい、焼酎造りへの熱い思いを聞きました。口数の少ないまじめな蔵元のイメージでしたが、他の蔵元仲間によると、酔ったら、よくしゃべるのだそうです(笑)。
芋焼酎「ツン」の田崎酒造(鹿児島県いちき串木野市)
同じいちき串木野市の田崎酒造では、杜氏の野崎充紀さんを訪ねました。「薩摩七夕」という熟成いも焼酎が売りの蔵で、新酒に挑戦。「ツン」「ミトラ」「ぷう」という、自らが飲みたい焼酎を杜氏のプライドをかけて造り続けている姿が、心に残りました。
米焼酎「武者返し」の寿福酒造場
最もインパクトのある体格だった杜氏が、熊本県人吉市の寿福酒造場の吉松良太さん。男が見ても惚れ惚れしそうな筋肉隆々の体から、米焼酎(球磨焼酎)の「武者返し」が生まれます。「球磨焼酎で唯一の常圧蒸留一筋の蔵」との誇りを持つ、女性杜氏の草分け的存在である母の寿福絹子さんとの絆(きずな)が印象的でした。
麦焼酎「兼八」の四ッ谷酒造
初めての大分麦焼酎取材は、今や全国に名をとどろかせる「兼八」の四ッ谷酒造。麦チョコのような香ばしさが特徴の麦焼酎ができたのは、「1000人に1人でも好きだと思ってもらえたらいい」という、専務の四ッ谷岳昭さんの挑戦からでした。岳昭さんは大学で数学を学んだ理系男子。物事を数値化する姿勢に納得しました。
米焼酎「極楽」の林酒造場
メイプルのような香りがすると評判の米焼酎「極楽」を造る林酒造場は、美しい山々と小川に恵まれた場所にありました。蔵の代表の林展弘さん、杜氏の泰広さん兄弟の2人3脚の焼酎造り。兄が味の方向性を決め、弟が杜氏として再現する。息もぴったりの2人がいるから、「どこか懐かしい味がする」という「極楽」が生まれます。