九州焼酎島

焼酎の種類
麦焼酎

麦焼酎

麦を主原料にした焼酎。肥沃な土地に麦畑が広がる北部九州の酒蔵で、この蒸留酒は多く造られている。麦特有の香ばしさが楽しめる芳醇タイプもあるが、一般的には芋焼酎と比べて癖が少なく飲みやすいタイプが多い。

歴史も古い。16世紀、長崎県・壱岐で生産が始まったと伝えられ、「壱岐焼酎」は世界貿易機関(WTO)が認定した銘柄。大麦3分の2、米麹3分の1という伝統的な配合でつくられる。

国内では大分県の「大分焼酎」の方が、歴史は浅いが馴染みはある。1960年代に麦麹を使った「麦100%」の麦焼酎が製造され、全国に広まった。

米麹はどっしり、麦麹はさっぱり?

このように、麦焼酎の代表格は、米麹を使った「壱岐焼酎」、麦麹の「大分焼酎」である。一般的には米麹は重めの味わい、麦麹は軽めの口当たりになると言われるが、製法によって味も違ってくるので、ぜひとも飲み比べていただきたい。


九州焼酎島の麦焼酎おすすめ5選

ちょっと癖のある芋焼酎に比べて、さっぱりとした飲み口。ビールだって、NHKの朝の連続ドラマ「マッサン」の影響で人気が出ているウイスキーだって、原料は麦だ。そんな麦のお酒好きが好きな人のために、九州焼酎島が選んだ麦焼酎5選を紹介する。

いいちこ

まずは、麦焼酎人気の立役者、大分の「いいちこ」(三和酒類)。大麦と大麦麹で仕込んだ焼酎は臭みがなく、すっきりと飲みやすい。しかも、庶民のお財布に優しい。焼酎好きの誰もが知っている愛称「下町のナポレオン」は、全国の日本人が麦焼酎を語る上でベースになる味ではなかろうかと思い、選出した。 本格焼酎業界で芋焼酎「黒霧島」の霧島酒造(宮崎)に売上高首位の座を明け渡した三和酒類だが、九州の焼酎を全国区にした功績は大きい。

兼八

大分焼酎でプレミアムとなっているのが「兼八」(四ッ谷酒造)。このお酒を飲んだ人はよく、麦の香ばしさからチョコレートのような風味と表現する。焼酎党垂涎の一品で、高級レストランでも提供される銘柄だ。

百年の孤独

宮崎の「百年の孤独」(黒木本店)は、麦麹を使う。まるで高級なウイスキーのような味わい。アルコール度数も40度ある。樫樽で長期醸造されており、淡い琥珀色に驚く。ウイスキーのように、ロックやストレートで飲みたい。 名前はブラジルの小説家ガルシア・マルケスの小説から付けられ、包装紙にはアメリカのジャズ奏者エリック・ドルフィーの言葉が書かれている。一見、洋酒のように見えて、麹で仕込まれた本格焼酎のうま味もしっかり楽しめる。「皇太子が晩酌されている」との話が広まり、人気に火が付いた。

壱岐スーパーゴールド

麦焼酎発祥の地、長崎の壱岐には名酒がたくさんある。玄海酒造の「壱岐スーパーゴールド」を紹介しておこう。シェリー酒に使ったホワイト・オークの樽に貯蔵し、熟成させている。もちろん、米麹を使っており、ほんのり琥珀色が美しく、香りが華やかで芳醇という言葉がぴったり。

釈云麦

福岡の西吉田酒造の「釈云麦」。大麦と大麦麹を常圧蒸留で、無濾過で仕上げた一品。どっしり深みのある味わい。麦の味をそのまま楽しめる。