鹿児島は天然水がうまい!
超軟水、アルカリイオン温泉水でつくる芋焼酎
国内最多の100を超える本格焼酎蔵がある鹿児島県。“芋焼酎王国”といえる南九州の県には、名水が多い。当然のことながら、水がうまいから、焼酎もうまいのである。
桜島の噴火で生まれたシラス台地を、フィルターにした水は、驚くほどの軟水。アルカリ度も高い。特に、東側の大隅半島にある垂水市は、超軟水の天然アルカリ温泉水のメーカーが多数ある。
この温泉水を使った焼酎が最近、ちまたで話題になりつつある。最大の特長は、超軟水からくる口当たりの柔らかさだ。まろやかで飲みやすい。
「温泉水99」(硬度1.7、pH9.9)で知られるエス・オー・シーは、アルカリ焼酎「紅息吹」を発売した。仕込み水から割り水に至る、すべての工程で、温泉水99を使用しているところが売りである。500mlのペットボトルが1本172円(税込)する高価な水を、惜しげもなく使っている。とっても贅沢な芋焼酎だ。
温泉水99は粒子が細かい水なので、原料の紅芋の甘さ、うま味成分を引き出すのに適しているという。ウイスキーのラベルのような瓶も、特徴的だ。鹿児島の焼酎と言えばアルコール度数は25度だが、紅息吹は20度と低めにしているので、オン・ザ・ロックでも、スイスイ飲みやすい。
焼酎は新平酒造に製造してもらっている。
同じ垂水市の寿鶴(硬度16.1、pH9.4)の温泉水は、大海酒造の「海」「くじら」「海王」の芋焼酎3銘柄で、仕込み水として使用されている。
財宝(硬度4、pH8.9)も温泉水を使用した焼酎を出しているが、原酒のアルコール度を25度に落とすための割り水として使っているという。芋焼酎の製造元は本坊酒造。
薩摩川内市の薩摩の奇蹟(硬度0.6、pH9.18)を割り水に使っているのが、小正醸造。その名も「薩摩の奇蹟」という芋焼酎を造っている。ふくろうラベルとお地蔵ラベルの2種類。
ちなみに、薩摩の奇蹟の水を販売しているのは、焼酎人で登場した「かごっまふるさと屋台村 SATSUMA」の林大智さんの家族である。
焼酎のような蒸留酒にとって、柔らかい水はとっても重要だ。鹿児島の最老舗の「池田BAR」では、温泉水99を、焼酎と同じ蒸留酒のウイスキーの水割りや、チェイサーとして使っている。お酒とのなじみがよく、チェイサーとして飲んでも、ウイスキーの良い余韻を残してくれるからという。焼酎でも同じだ。
焼酎で、水の違いを楽しんでみるのも、面白い。