九州焼酎島

2016/02/08

イベント | 「焼酎の日」に1万人で乾杯するイベント

「焼酎の日」に1万人で乾杯するイベントを分析してみた

11月1日の「本格焼酎の日」に鹿児島県酒造組合が企画した「かごんまは焼酎で乾杯 めざせ、1万人!」
20時30分に、鹿児島県産本格焼酎で、日本全国、世界で一斉に乾杯するという催しだった。
参加者は乾杯した様子を、Facebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、Instagram(インスタグラム)などに投稿。乾杯した人が1万人に達したら企画は成功だったが、残念ながら2015年の参加人数は6396人だった。

 

約6400人が1番乾杯した焼酎の名前は?

九州焼酎島も担当者2人が参加した。さつま無双の芋焼酎、「赤無双」と「もぐら」で乾杯。その時、「他の人はどの銘柄で乾杯したんだろうか」という話になり、「調べてみようよ」となった。どうせなら「銘柄」だけでなく、「蔵元」「飲み方」「つまみ」「グラス」「(乾杯した)場所」も調べてみることにした。6396人のうち、投稿の画像から判明した分を紹介したい。

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トップは黒伊佐錦!

乾杯で使用された銘柄は、「黒伊佐錦」(大口酒造)がトップの29で、「三岳」(三岳酒造)が22の2位。3位以下は「さつま島美人」(長島研醸)が20、「黒白波」(薩摩酒造)が16、「小鹿」(小鹿酒造)が13、「あらわざ桜島」(本坊酒造)が12、「海童」(濱田酒造)が11、「魔王」(白玉醸造)などとなった。ちなみに、「もぐら」は4、赤無双は圏外だった。

 

乾杯で使用の焼酎を造った蔵元1位は大口酒造と本坊酒造!

乾杯で使われた焼酎を造っている蔵元を調べると、「黒伊佐錦」が人気を集めた大口酒造と、「あらわざ桜島」「桜島」が飲まれた本坊酒造が37で並んでトップ。長島研醸が29で3位に付けた。さつま白波に代表される薩摩酒造が27、三岳酒造と小正醸造が24で続いた。

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乾杯の際の飲み方はお湯割りが断トツのトップ

飲み方を見ると、焼酎王国らしく「お湯割り」が83で断トツの1位。オン・ザ・ロックが10、水割り2と続き、カルピス、コーラ、梅酒、コーヒーで割ったものが、それぞれ1ずつ確認できた。

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焼酎のつまみナンバーワンは刺身!

焼酎のお供になっていたつまみは、刺身が12でトップ。鍋と焼き鳥が6で、鹿児島の郷土料理さつま揚げが5、唐揚げ、ポテトサラダ、枝豆が4だった。

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乾杯参加者の多くが普通のグラスを使用

乾杯で使用したグラスは、普通のガラスのグラスが168で最も多く、焼酎酒器が88、酒造のグラスが38、湯のみが18、ヂョカが9などで、高級酒器の薩摩切子はわずか2だった。

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乾杯した場所は鹿児島に次いで、東京が多い!

乾杯した場所を確認してみたところ、鹿児島県が185、東京都が33、大阪府が16、愛知県が15、埼玉県が12、福岡県が11などという結果になった。投稿のコメントを見ていると、県を離れている鹿児島出身者も、多く参加したようだ。

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鹿児島の焼酎じゃないのに、黒霧島で乾杯した人も・・・

今回、九州焼酎島が調べた数字は、あくまで参考程度に見てもらいたい。フェイスブックなどの投稿画像や文章から判明した分だけを書いているので、実際の数字は変わってくる。参加条件は鹿児島本格焼酎だったのだが、調べてみると、「黒霧島」と「赤霧島」がそれぞれ7あり、製造元の霧島酒造の焼酎は18確認できた。霧島酒造は宮崎県都城市の焼酎メーカーである。

鹿児島県産本格焼酎は「薩摩焼酎」と呼ばれる。「薩摩焼酎」の名称は、世界貿易機関(WTO)が認定している原産地呼称で、「スコッチ」「シャンパン」「コニャック」などと並ぶ世界のブランドなのだ。

世界で認められたブランドが、国内であまり認知されていない現実。「薩摩焼酎」のアピールはもっと必要だろう。

 

鹿児島は出荷量は宮崎に抜かれて2位に転落、年々減少・・・

鹿児島県は2014酒造年度(2014年7月~2015年6月)で、霧島酒造に牽引される宮崎県の芋焼酎に、長年守ってきた年間出荷量トップの座を奪われている。統計を取り始めた1990年から、焼酎王国の鹿児島が首位の座から陥落したのは初めて。焼酎界にとって、衝撃的な出来事だった。

同時に麦、米などを含めた本格焼酎の総出荷量でも、10年連続全国1位だた鹿児島は宮崎に抜かれて2位に転落した。

鹿児島県の芋焼酎の出荷量は2006年をピークに減少し、逆に黒霧島の霧島酒造が総出荷量の3分の2を占める宮崎県は出荷量を伸ばしている。

 

来年こそは焼酎乾杯1万人達成を!

鹿児島県の焼酎メーカーも危機感を抱いている。そんな中で行われた11月1日の「かごんまは焼酎で乾杯 めざせ、1万人!」の取り組み。目標は達成できなかったけれども、何だかワクワクした。宮崎に対する反撃ののろしとでも言おうか。鹿児島で行われた乾杯のイベント映像を見るだけでも、楽しさが伝わってくるイベントだった。来年も続けて、ぜひとも乾杯の参加者数1万人を目指して欲しい。

ただ、願わくば、宮崎県でも同様のイベントをやってもらいたい。各県で競いながらも、焼酎業界全体で、「焼酎を飲むのって楽しいね」と盛り上げてほしいのだ。そうすれば、再び焼酎ブームはやってくるのではないか。鹿児島にも、宮崎にも、そして他の九州各県にも頑張って焼酎を全国にアピールしてもらいたい。そんな焼酎ファンを増やすためのお手伝いを、九州焼酎島としても続けていきたい。

 

(渡邊精二)


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