九州焼酎島

焼酎人
友添健二さん

「売る人」たちが、今惚れ込んでいる焼酎を語る。
~ 福岡市の酒屋・友添本店 友添健二さん ~

本格焼酎をお客に振る舞う人たちがいる。
飲食店や酒屋。彼ら、彼女らは、味に敏感だ。ブランドにとらわれず、自らがおいしいと思える焼酎を常に探し求めている。
「売る人」たちが、今惚れ込んでいる焼酎を語る。

「とっておきのがあるっちゃん!」

九州は焼酎アイランドです。とってもおいしいお酒を造っている蔵がたくさんあります。私は店に来るお客さんにおススメの焼酎を聞かれたら、「とっておきのがあるっちゃん!」と伝えるのが楽しみ。蔵人たちが一つの焼酎にかけているエネルギーを、お金に変えてあげる役目があると思っているので。だから、一生懸命に良い酒を生み出そうとしている人たちを応援したくなるんです。

福岡の酒屋仲間とともに

例えば、宮崎県国富町の川越酒造場。小さな蔵なのですが、とてもこだわった焼酎を造っています。でも、消費者になかなか想いが伝わらず、江戸時代創業の古い蔵を閉めようか悩んでいました。非常にもったいない話。そこで、福岡の酒屋仲間とともに「福岡の人に受ける焼酎を造ってみませんか」と、味の提案したんです。

出来上がったのが芋焼酎の「川越」。米焼酎をブレンドしているのがポイントで、芋、芋していないから福岡の人にも飲みやすい。今や大人気で、友添本店でもすぐに品切れになります。そんなに多く生産できないので、たくさん仕入れることができないんです。だけど、自分が少しでも関わった焼酎が多くの人たちを幸せにしているのを見ると、うれしいんですよね。

もともと家業を継ぐつもりはなかった

友添本店は1963年(昭和38年)創業で、歴史は半世紀を超えました。店が始まった当時、福岡市中央区の春吉近辺は酒屋がたくさんありました。近くの清川は料亭が並び、中洲よりにぎやかでした。小学生のころは、人力車に乗った芸子さんの姿をよく見たものです。

私は、もともと家業を継ぐつもりはなかったんですよねえ。大学時代に浴びるほど酒を飲まされたものだから、卒業後は「絶対に飲むものか!」なんて思ってましてね。でも、学生時代に仲間と海外旅行をして、人生観がすっかり変わってしまいましてね。気がつけば、友添本店を継いで30年になっています。

人生観を変えたアフリカ旅行

どんな旅したかって? アフリカ旅行なんです。両親には「ヨーロッパに行く」とうそをついてたんですけど(笑)。そうしたら、福岡空港に友だちが100人ぐらい見送りに来ましてね。「もう会えないかもしれないから」ですって(笑)。すっかり親にはバレてしまいましたけどね。

今振り返ると、怖いもの知らずというか、世間知らずというか。アフリカを縦断するには、四駆の車が必要だから、トヨタにランドクルーザーをもらおうなんて考えて。今なら「無理だろう」って思いますよね。それが中古のランドクルーザーを1台提供してもらったんですよ。ただ、中古1台じゃ死ぬな、と思って車を使うのはやめて、電車やヒッチハイクなどの旅になったんですけど。

チュニジアの南部に行った時は、現地の人から「死ぬからこの先は行くな」なんて言われましたね。アルジェリアで出会った日本人から「今の時代はアジアぜ」と聞いたので、トルコを通って、イランへ。入国の際に荷物の申告をしなかったせいで、アフガニスタンの手前で拘束され、持ち物を没収されました。1週間ぐらい軟禁されまして。残っていた時計などを現地の人たちに売ったりして、なんとかお金をつくって日本に帰りつきました。

生き生きと暮らしていく

半年ぐらい、いろんな国に行って、現地で働く人たちの姿をたくさん見て。「仕事って何でもいいや」って思えるようになっていたんです。大企業に入ることなんかより、生き生きと暮らしていくことの方が大事だな、とわかったんで。そんな時、実家を継いで、酒屋として生きて行くやりがいを感じたんですよね。旅の経験は今も役立っていますよ。何でもやってみて、言ってみる。イベントをするときに、「無理じゃない」と思うような大企業に出向いて、協力してもらったりしてますからね。

日本酒を含めた地酒を応援

 今、友添本店では「福岡県内70蔵元のお酒がすべてそろう店」を掲げて、日本酒を含めた地酒を応援しています。だから普段の晩酌は、できるだけ福岡のお酒を飲むようにしてます。焼酎で言えば、最近は紅乙女酒造の「河童九千坊」という麦焼酎を開けましたね。ロックでおいしく飲みました。ラベルのデザインが好きなんですよねえ。

九州の地酒がすべてそろう酒屋に

ただ、福岡の地酒応援団を標榜していますけど、将来的には九州の地酒がすべてそろう酒屋にしたいなと考えています。東京や大阪などの方にとっては、間違いなく「九州は一つ」なんです。福岡、宮崎、鹿児島など県別でお酒を探したりしてないでしょうから、県単位よりも「九州」というくくりの方がPRしやすいと思うんです。

焼酎アイランドにある友添本店から、とっておきの「九州の焼酎」を紹介していきたいですね。


プロフィール

友添健二さん

1960年生まれ。福岡市出身。大阪の酒屋で修行した後、26歳で家業に入る。 日本酒にも詳しく、福岡の地酒を語ったインタビューは姉妹サイトの博多日本酒吟醸香に掲載中。 友添本店は福岡市中央区春吉2丁目11-18。「つくし」(西吉田酒造)など福岡の焼酎だけでなく、「甕雫」(京屋酒造)といった手に入りにくい人気焼酎も多く並ぶ テルニューオータニ博多1階でも店舗を運営している。