九州焼酎島

楽しむ
前割り

まろやかな口当たりの「前割り」

本格焼酎で、ぜひとも試してもらいたい飲み方が、「前割り(先割り)」である。 読んで字のごとく、焼酎を前もって数日前から水で割っておく飲み方だ。飲む直前に水で割るよりも、「前割り」の方が焼酎と水が馴染み、口当たりがまろやかで飲みやすくなる。「焼酎通」にも人気の飲み方だ。

芋焼酎の本場、鹿児島などでは昔から「前割り」の焼酎が飲まれてきた。一昼夜寝かせた「前割り焼酎」を黒じょかに入れ、人肌ぐらいに温めて、楽しむ。寝かせることで、アルコールの角が取れて味に丸みが出て、温めることで芋の甘い香りが楽しめる。

うまい前割りを飲みたかったら、水にもこだわりたい。水はミネラルウオーターがいい。特に軟水であれば、あるほど、口当たりはふんわりとまろやかになる。

焼酎6、水4が一般的

焼酎にこだわっている飲食店では、メニュー表に「前割り焼酎」を載せているところもある。「焼酎人」に登場した今田篤子さんが店長を務める、東京・新丸ビルの蒸し料理専門店「musmus(ムスムス)」では、宮崎の芋焼酎「松露」(松露酒造)の前割り焼酎を出している。使用している水は鹿児島県垂水市の天然アルカリ温泉水「温泉水99」。硬度1.7の超軟水だ。

「前割り」を作る時の焼酎と水の割合はお好みで。6対4で割るも良し、5対5で割るも良し。ムスムスの場合は、6対4で割ってカメで一晩以上寝かせており、お店でも女性客に大人気とか。


前割り後、5日以上でかなりまろやか

前割りの期間もさまざまで、一昼夜でもうまいが、寝かせれば寝かせるほど、口当たりのよい焼酎になるよう。宮崎の芋焼酎「月の中」(岩倉酒造場)の前割り焼酎がお気に入りの、焼酎人の黒木雄一さんは「5日間ぐらい」という。1週間も置けば、かなりのまろやかになる。

焼酎と水を混ぜるだけで、手間もかからず、おいしい1杯が飲めるのだから、ぜひとも挑戦してみたいところ。気心の知れた仲間と自宅で宴会を計画されている方は、事前にお気に入りの焼酎で「前割り」を作っておけば、喜ばれること間違いなし!