九州焼酎島

焼酎を知る
焼酎の「黒」「白」「黄」って?

焼酎の「黒」「白」「黄」の色で、味は違うの?

焼酎のラベルには「黒」「白」「黄」とさまざまな色が書いている。霧島酒造の「黒霧島」と「白霧島」はどう違うのか疑問を持っている方もいるだろう。

この色は簡単に言えば、焼酎造りには欠かせない「麹」の種類を示したものである(中には「赤」などさつま芋の種類を示したものもある)。麹については、「麹とは何?」を読んで欲しい。

では、黒麹、白麹、黄麹とはどんなものなのか? 果たして、色によって味の違いがあるのか?

白麹が主流 黒麹も人気 黄麹は主に日本酒

焼酎の麹はもともと、黄麹を使っていた。清酒造りに使われる昔ながらの麹で、色が黄色がかっている。本格焼酎の9割を製造する温暖な九州の気候と相性が悪く、腐りやすいのが難点。品質管理の難しさもあって黒麹や白麹に主役の座は移っていった。

沖縄の泡盛造りで使われている黒麹はその名の通り真っ黒。明治時代の終わりに、焼酎造りでも使用されるようになった。黒麹は黄麹と比べてもろみが腐りにくい。雑菌の繁殖を防ぐクエン酸を大量につくるためだ。泡盛のルーツとされるシャムの国(現在のタイ)で蒸留酒造りに使用されていただけあって、亜熱帯の高温多湿の気候でも安全に発酵できるのだ。これは、九州で焼酎をつくるにはもってこいの麹といえた。

黒麹の中から突然変異で生まれたのが白麹。これも雑菌に強いクエン酸をいっぱいつくる。九州の気候にも合い、焼酎蔵に急速に広まっていった。今や、多くの焼酎には白麹が使われている。


黒は濃厚 白はスッキリ 黄はフルーティー

焼さて、黒、白、黄で味の違いはどうなのか。

黒麹は白麹に比べて、コクのある濃厚な味になると言われる。白麹はすっきりとした味わい。でも、実際のところ、黒麹と白麹で仕込んだ焼酎の味の違いは、メーカーの担当者に聞くと「それほどない」という。原料や仕込みの仕方、熟成方法などによって、焼酎の味わいは変わってくるからだ。

三和酒造の「鹿児島藩」など同じ銘柄でも、白麹仕込みと黒麹仕込みが販売されているので、実際に飲み比べてみると面白い。プレミアム焼酎でいえば、佐藤酒造の「佐藤」が白と黒を出している。

黄麹は清酒に用いられるだけあって、フルーティーでまろやかな味わいが特長。

近年の焼酎ブームに乗って、黄麹をつかった焼酎も徐々に復活してきている。鹿児島の芋焼酎では、「海」(大海酒造)、「前田利右衛門」(指宿酒造)、「極の黃」(さつま無双)などが黄麹を使っている。