「白ワイン?」
「いえいえ、芋焼酎です!」
以前、鹿児島県霧島市の万膳酒造に行った時、「安田」という名の芋焼酎を勧められた。霧島市の国分酒造で造られている。「安田」は、杜氏の安田宣久さんの名字から。この芋焼酎の味が一風変わっている。まるで「白ワインか?」と思うほど、フルーティーなのだ。
芋麹を使用
芋100%のパイオニア、国分酒造
焼酎と言えば、米麹が一般的なのだが、「安田」は芋麹を使っている。原料はさつま芋、麹もさつま芋。つまり芋100%の焼酎なのである。「蔓無源氏(つるなしげんじ)」という、めずらしいさつま芋を使用しているという。
「安田」の裏側に詳しく説明が書かれている。引用させてもらおう。
平成十五年七月、十本の苗から「蔓無源氏」の芋の復活劇が始まりました。復活させたのは、農家の谷山秀時さん。
霧島市福山町佳例川(かれがぁ)。水と土が息づくこの地が舞台です。この芋を使った焼酎造りを手掛けるのは、杜氏・安田宣久。
平成四年に国分酒造の杜氏となり、平成九年には、業界初の芋100%の焼酎「いも麹 芋」を仕込み、安田独自の手法で、芋100%の焼酎を造り上げてゆきました。
「蔓無源氏」の芋で仕込んだ芋100%の焼酎。原料・仕込み方法ともに、他にはない唯一無二の芋焼酎です。
蔓無源氏(つるなしげんじ)という100年昔の芋を復活させ、その芋を原料、麹として仕込んだ芋100%の芋焼酎ということなのだ!
ラベルの原材料の表記にも、「いも麹(鹿児島県産蔓無源氏)」「さつまいも(鹿児島県産蔓無源氏)」と書かれている。
芋、芋しているのに、芋臭さはない。焼酎原料のさつま芋栽培から自らやっている白石酒造に行った時に、代表の白石貴史さんが「さつま芋は土の中にできる果物」と話していたのを思い出す。「安田」から漂ってくるのは、まさに果実の香り。口に含むと実感する。
個人的には、水割りがいい。これから、季節も暑くなる。そんな時に、さわやかな気分にさせてくれる芋100%の芋焼酎である。