暑い。だから冷たいものがほしい。
筋金入りの焼酎党は、夏でもお湯割りを飲む。うちのオヤジは、夏でもポットから熱々のお湯を注いで、さつま白波(薩摩酒造)や黒霧島(霧島酒造)を飲んでいる。にわか焼酎飲みの僕は、まだその域まで達していない。夏は水割りで、涼しくいきたい。
そういうわけで、焼酎の「水割りの極意」というものを、いろいろ調べてみた。ポイントはグラスをきっちりと冷やすことのようだ。まず氷をグラスにたっぷりと入れ、グラスの温度を下げる。そして、お好みの焼酎を適量注ぐ。ここで、しっかりとかき混ぜて冷やす。最後に、ミネラルウォーターを入れて、軽く混ぜたら出来上がりだ。
お湯割りはお湯から先にコップに注ぐが、水割りは逆に焼酎を先に入れる。比重の関係で、混ざりやすくなるからだ。
とにかく、おいしい水割りを飲もうと思ったら水を入れる前にしっかり冷やす。それで焼酎が薄まりにくくなり、味も整うのだとか。水は、せっかくならアルカリ性の軟水の天然水を使いたい。まろやかな口当たりになっていい。
この作り方で、麦焼酎の「百年の孤独」(黒木本店)を飲むと、アルコール40度の樽貯蔵酒だから、まさにウイスキーの水割りと感じる。本格焼酎の木樽貯蔵の先駆けである、小正醸造の「メローコヅル」も、ウイスキーっぽい。鹿児島の酒造メーカーなのに、米焼酎にこだわっている。試飲したら、心地よい香りが鼻から抜けていった。水割りにしたら、最高だ。
ようするに、焼酎の水割りは、ウイスキーの水割りの作り方と変わらない。同じ蒸留酒だから、当然といえば当然なのだ。
ただ、ウイスキーの水割りを熟知した鹿児島の老舗バー、ハイブリッジの山中知広店長が「焼酎はこだわらず、気取らなくていい酒」と言っていたのを思い出す。洋酒を知り尽くし、焼酎にも慣れ親しんだ鹿児島のバーテンダーが言うのだから、納得がいく。
「水割りの極意」と題して書いたものの、気楽に作って飲むのが結局のところは、焼酎らしいんだろうなと思う。もちろん、こだわるのも、気取るのも自由。本当に、焼酎って自由な酒だなあ。
(渡邊精二)