九州焼酎島

2016/01/25

ゆったり焼酎日和 | 第8回 焼酎で雪見酒

関東で大雪だなと思っていたのが、はるか昔のようだ。九州は約40年ぶりの大寒波。南国イメージ漂う奄美大島では、115年ぶりに雪が降ったとか。鹿児島の同僚の家は、雪が30センチ近く積もっているらしい。投稿された写真を見て「ほんとに鹿児島か」と目を疑った。

 

僕は九州育ちなので積雪とはほとんど無縁なのだが、窓の外を眺めると、庭に雪がうっすら積もっている。ふと、テレビの旅番組でよくやっていた、雪見酒が頭に浮かんだ。東北の露天風呂で、芸能人がオケに酒を浮かべて、湯けむりの中で一杯やっている風景。一般的には日本酒のイメージだが、焼酎で「雪見酒」は、似合うかな、と思った。

 

焼酎で雪見酒をするなら、やはりお湯割りだろう。せっかくなら、今まで聞いたことのないような焼酎を試したい。さつま南洲酒店「お湯割りが美味しい! おすすめ焼酎」を見てみた。

 

まず、芋焼酎「角玉」佐多宗二商店)。黄金千貫と黒麹を使い、常圧蒸留、荒濾過で仕上げているから、豊かな芋の風味が感じられる。なるほど、お湯割りにはぴったり。

 

種子島の上妻酒造芋焼酎「宝満」。芋はシロサツマ、そして、古代米の赤米を使った白麹で造っているそう。こちらも常圧蒸留なので、原料の個性がそのまま。太古のロマンに思いをはせながら雪見酒もいい。

 

植園酒造芋焼酎「園乃露」は黄金千貫を常圧蒸留し、豊かなコクと甘味ある口当たりだそう。芋焼酎「手づくり千鶴」は黄金千貫と黒麹を使用、これまた常圧蒸留で仕上げているため、濃厚な旨味という。

 

ここまで書いていて、気づいた。お湯割りに合うキーワードは「常圧蒸留」。焼酎人で東京・新丸ビルにある蒸し料理専門店「ムスムス」店長の今田篤子さんが、「焼酎ブーム再来」のための鍵と熱く語っていた蒸留方法だ。常圧蒸留は個性と風味が豊か、減圧蒸留は癖が少なくてすっきりと言われる。

 

焼酎に関する取材をやっていると、「あっさり」よりも、「こってり」な焼酎が好きになってきた。焼酎で雪見酒なら、常圧蒸留の焼酎の方がいいな。真っ白のじゅうたんに覆われた庭を見ながら、思った。

 

(渡邊精二)

 


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