九州焼酎島

2015/11/17

ゆったり焼酎日和 | 第2回 焼酎の甘さ

「うまい」と、キーボードをたたいて変換キーを押すと、「甘い」と出てくる。「うまい」と「あまい」は同義語だと聞いたのは、九州大学の都甲潔教授の研究室だった(詳しくは焼酎人の都甲教授の紹介を読んでほしい)。味覚の研究をしている都甲教授は「あまい」は心地良いという意味でもあると、教えてくれた。

 

本格焼酎のうまさは、甘さであるという人が多い。焼酎は蒸留酒だから糖分ゼロで、本来なら甘くないはずなのだが、ほのかな甘みを感じる。それは「さまざまな不純物が含まれているから」と都甲教授。

 

飲み会の席で一緒になった、老舗の本格焼酎メーカーの社長から聞いた話を思い出した。社長はぼやいていた。「僕らは芋と麹だけで、いかに焼酎に甘さを出すか。そこにこだわって、いつも苦労している。でもね。甲類では、簡単に砂糖を入れちゃうメーカーがあるんだよ。砂糖を入れれば甘くなるよね。それを、うまい、うまいって飲む人がいるからね……」

 

本格焼酎、乙類は芋や麦などの素材と麹、水だけで造られる。まじめに造っている蔵は、決して砂糖なんて入れない。厳選した素材そのものの甘さを、いかに出すかで競い合っている。

 

僕は、はじめての焼酎を試す時、甘さを意識するようになった。自分に心地良い焼酎かどうかを。

 

最近、香りも口当たりも甘いくて、美味しいなと思った焼酎がある。鹿児島・三和酒造「鹿児島藩白麹仕込み」。この銘柄については、次の回で紹介したい。

 

(渡邊精二)


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