九州焼酎島

2016/01/18

ゆったり焼酎日和 | 第7回 焼酎のお湯割り

暖冬だと思っていたら、関東では大雪とか。寒くなると、焼酎のお湯割りが恋しくなる。日本酒の熱燗もいいけれど、やはり体を温めてくれるのは、焼酎だ。コップから立ち上がる湯気とともに、芋の甘い香りがぷ~んと鼻を付くと幸せな気持ちになるものだ。

 

就職してはじめての赴任地が宮崎市だった。仕事が終わった後、上司に誘われて行く店は、焼き鳥屋や手羽餃子が美味しい居酒屋だった。飲む酒も、宮崎だけに焼酎ばかり。黒霧島や日向木挽のボトルをキープし、お湯の入ったポットを脇に置いて、新人の仕事である僕は焼酎のお湯割りづくりをさせられたものだ。

 

社会人になるまで焼酎に親しんだことがなく、お湯割りも作ったことがない。適当に入れていると、上司から怒られた。お湯割りを作る時、焼酎からコップに注ぐと、鬼の形相(本当に鬼みたいだった)で叱られた。「お前はお湯割りの作り方もしらんのか!」と。

 

焼酎のお湯割りは、必ずお湯からコップに入れないといけない、と教えられた。お湯の後に焼酎を入れたら、よく混ざって、まろやかな飲み口になるという。「どっちでも、いいんじゃない」と思ってたんだけど、焼酎どころの流儀として従っていたら、いつの間にか、お湯から入れないと許せなくなった。

 

焼酎とお湯の割合は、6対4がポピュラーみたいだが、僕は4対6か3対7がいい。お湯が多めのほうが、そんなに酔わないし、長く楽しめる。「自由なのが焼酎の良いところ。お湯9に焼酎1だっていいんですよ」と、焼酎先生として知られる鮫島吉廣さんの話を思い出した。

 

お酒が弱い人は、焼酎をお湯で薄めて楽しめばいいのだ。日本にそんなお酒って、あまりないから、焼酎って素晴らしいと思う。

 

でも、九州で焼酎からコップに注ぐと、怒られることがあるので、知らない方はご注意を。

 

(渡邊精二)

 

 


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