若者のアルコール離れ、焼酎離れが進んでいるという。
九州大学大学院の坂口光一教授と、そんな話になった。坂口教授は「Sho-chuプロジェクト」を立ち上げて、九州の本格焼酎を蔵元とともに、世界に売りだそうと活動している。
しかし、活動とは裏腹に今の日本人学生は酒を飲まず、飲み会にも参加しないことが多いという。「飲み会はコミュニケーションの場づくりだよね」。坂口教授は少し寂しげだった。プロジェクトをサポートしている学生の多くは、中国などからの留学生だ。
鹿児島に向かう新幹線の中で思い出した。20代~30代の鹿児島出身者と地元の居酒屋に行った時のことだ。彼らは酒をあまり飲まない(もちろん飲めない人もいるのだが)。驚いたことに、酒好きな人でも、積極的に焼酎を頼もうとしないのだ。理由は「特に好きな酒ではない」から。
鹿児島の飲み会と言えば「焼酎で乾杯!」というのは、福岡出身の僕の思い込みなんだろうか。消費量全国一の「焼酎王国」でさえ、焼酎離れが進んでいるのだろうか。
九州焼酎島のホームページを始めて、僕は焼酎の魅力に取りつかれていっている。嬉しい時に飲めば喜びを倍増させ、悲しい時に飲めば悲しみを和らげてくれる。本当に、そんな酒なんだな、と。
新幹線は鹿児島の出水駅を過ぎた。ふと、焼酎にまつわるコラムでも書いてみようと思った。「焼酎をちょっと飲んでみようかな」という人が一人でも増えてくれたらと願い、筆を握った。
(渡邊精二)
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「ゆったり焼酎日和」では、焼酎にまつわるこぼれ話などを、筆者の主観を交えて紹介していきます。