九州焼酎島

2016/09/20

ゆったり焼酎日和 | 第23回 焼酎と九州

4月の熊本県、大分県での大地震から半年になろうとしている。新聞で被災地を伝える記事がめっきり少なくなってきたように感じる。

熊本は九州の中央にある。地震によって、交通網が分断された。発生当初は、福岡~鹿児島の陸路移動に苦労した記憶がある。

言うまでもなく、九州は日本の95%近くの本格焼酎を製造する“焼酎島”である。300余りの焼酎蔵元があり、世界最大級の蒸留酒地域である。

この“九州焼酎島”にある蔵にとって、地震で流通に不都合が生じたことは想像に難くない。でも、僕はピンチはチャンスでもあるのではないか、と思い始めている。

「総論賛成、各論反対」みたいなところのある、焼酎業界。なかなか一つにまとまるのは、難しかった。大地震という未曾有の危機は、“九州焼酎島”が一丸となって、焼酎という九州の「文化遺産」を、再び日本全国、そして世界の消費者にアピールし、飲んでくれる人を増やすチャンスになるのではないだろうか。

九州では今、「One Kyushu」の立場で各県を横断し、複数の団体が連携して、「焼酎王国・九州」の共同キャンペーンを展開しているという。焼酎人に登場した「SHO-CHUプロジェクト」を率いる九州大学大学院の坂口光一教授もその一人。9月23日に東京で、日本外国特派員協会との共催で、九州の焼酎を世界に発信するイベントを開く。

「九州の焼酎」「焼酎の九州」という両面に焦点を当て、多くの蔵元が県境を超えて集い、焼酎と九州をアピールするという。

九州は一つ。今、国や自治体がさまざまなホームページを立ち上げるなどして、震災のダメージが色濃く残る観光地の話題などを外に発信する。九州焼酎島も「One Kyushu」の視点で、九州のすばらしき特産品である本格焼酎の情報を、読者の方々にお届けしていきたい。

(渡邊精二)

※写真はSHO-CHUプロジェクトのイベント


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