九州焼酎島

2017/02/21

ゆったり焼酎日和 | 女子大生2人の「ミス焼酎を終えて」

初代ミス薩摩焼酎の森さん、初代ミス奄美黒糖焼酎の崎本さん

ミス焼酎として、イベントに華やかさを添え、鹿児島の芋焼酎や黒糖焼酎の魅力を全国、そして世界にアピールしてきた鹿児島大学法文学部の同級生2人。初代ミス薩摩焼酎の森万由子さんと初代ミス奄美黒糖焼酎の崎本彩さんに、焼酎のお湯割りを呑みながら、1年間(2015年11月~2016年11月)の活動を振り返ってもらった。(取材場所提供・味こよみ おん)

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初代ミス薩摩焼酎の森さん(左)と初代ミス奄美黒糖焼酎の崎本さん

森さんは就活準備、崎本さんはスペイン留学準備!

ー ところで。今、2人は何をしているんですか?

森さん 大学に通いながら就職活動の準備をしてます。マスコミ業界で働きたいと思っています。

崎本さん 今年の9月からスペインの大学に留学する予定です。なので、大学でスペイン語の勉強の真っ最中。苦戦しています(笑)

ー えっ! スペイン?

崎本さん 中学時代から留学したいなと思っていて。大学に交換留学の制度があって国の一覧を見たら、ヨーロッパは人生でそんなに行くことはないかなと思って。ミーハーな理由なんですけど(笑)。

森さん「焼酎で季節を感じ、大人になったなぁ(笑)」

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ー 2人とも焼酎は飲んでますか?

森さん 飲んでますよ。そろそろ、ミス薩摩焼酎の副賞でもらった焼酎1年分もなくなりますね。20歳になって、初めてのお酒が「紫の赤兎馬」で、ミスになって、いろんな銘柄をたくさん飲みました。1年間で、100銘柄は飲んだと思います。試飲会で、各蔵の焼酎を飲んだりしましたし。働きながら、ぽわんと心地よくなることはありました。ありがたい仕事だったなと思いますね(笑)。おかげで、お湯割りとか、焼酎の飲み方によって季節を感じるようになりました。夏は炭酸割りで飲んだり、さらに暑くなるとロックで飲んだりとか。「夏が来たな」と、季節を焼酎で感じるようになったので「私も大人になったんだなあ」と感じています(笑)。

ー 崎本さんは、黒糖焼酎を飲んでます?

崎本さん 飲んでます。でも、鹿児島市内のお店に行くと芋焼酎しか置いてないところが多いので、その時は芋を飲んでますね。でも、どっちも好きです。水割りが好きです。

崎本さん「黒糖焼酎・山田川が大好きです!」

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ー お気に入りの焼酎はできましたか?

崎本さん 山田酒造の「山田川(やまだごう」という銘柄があるんですけど、すごく好きです。森ちゃんが聞き飽きるぐらい、この話はしているんですけど(笑)。

「長雲一番橋」とちょっと似ている黒糖焼酎です。山田川は、代表の山田さんのお父様が実際にお米をつくっていて、そのお米を麹米に使っているんです。黒糖は奄美で採れたサトウキビを近所の工場で製糖したもの。お水も、蔵元の近くを水を使っていて。「オール奄美」のすごくレアな黒糖焼酎なんです。

ー 奄美のサトウキビは高級ですからね。貴重ですね。

崎本さん そうなんです。だから、造る量もすごく少なくて。ミス奄美黒糖焼酎になった直後に飲んだんですけど、すごく衝撃的で。香りが全然違うんですよ。お湯割りだと、焼酎は香りが立つじゃないですか。でも、水割りでも、黒糖の甘い香りが誰でもわかるぐらいすごく強くって。口に入れても、まず最初に甘さが来るんです。

黒糖焼酎と言っても、甘いわけじゃないですよね。もちろん甘いな、と感じるものもありますけど、すっきりしたものやキリッとしたものもある。山田川はとにかく甘くて。飲んだ後も、甘い香りの余韻が残っているんです。でも、すっきりもしていて。本当にインパクト大なんです。どうしてもほしくって。ちょっと値段が高めなんですけど、昨年末に購入して、ちょびちょび飲んでます。

ー 森さんは、衝撃的な出会いはありましたか?

森さん う~ん、出会いですか。難しいな。私は、飲むシーンによって焼酎のタイプは変わりますね。お酒だけ飲みたい時は、甘いのとか、パンチがあるのを飲みたい。食事のときに飲む焼酎は、甘さ控えめのどちらかと言えば、辛口のものが飲みたい感じですかね。今、八千代伝酒造の「黄色い椿」が気になってます。

崎本さん「ミスの活動は人生の宝物」

森さん「ふる里貢献を考えるように」

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ー 1年の任期を振り返ってもらいたいです。普通の大学生ができない体験だったんじゃないですか。

崎本さん ほんと、あっという間の1年でした。ミス奄美黒糖焼酎になったのが20歳。その前までは、お酒を飲める年齢じゃなかったし、鹿児島について考えることはありませんでした。ミスとして、鹿児島の特産物の焼酎を広めるお手伝いができるようになって、鹿児島の良さ、素晴らしさに気づきましたね。自分が住んでいる県を代表するお酒をアピールする活動にたずさわれるなんて、よく考えたらすごいことですよね。

鹿児島に住んでいたら、焼酎って身近で当たり前な存在です。ミスになれたから、一歩深い所で、実際に造っている方とも交流できて、一緒にお酒も飲めて、いろいろお話しもできた。普通に学生生活を送っていたら、知ることができない世界でした。自分の人生の中で、この先ずっと宝物になるような素晴らしい体験ができたと思います。

森さん 焼酎に対する愛着は深まりましたね。ミス薩摩焼酎になったおかげで、自分が生まれた土地で造られた焼酎を飲みたい、みんなに勧めたいと、自然に思えるようになりました。そして、自分にとって鹿児島はふる里なんだな、とあらためて気づきました。

ミスの活動を通じて、ふる里に貢献するって、なんだろうと考えるようにもなりました。例えば、北海道の物産展で、私たちは大島紬を着たんですけど、それは私たちが「着たい、着たい」と言って、着させてもらったんです。ふる里が好きだから、という自然な気持ちからです。ふる里のものをもっと身近に感じたいとか、その良さをもっと広めたいとか。ミスになったことで、そんな気持ちが自分の中にあったんだと気づいたんです。

これからも、「ふる里に貢献するって何だろう」という意識を持って働きたいし、生活したいと思うようになりました。今は鹿児島産のものを食べたりとか、身につけたりする機会がかなり増えました。

海外知名度は薄、北海道では人気

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ー 日本全国、そして海外のイベントにも行ったとか。

森さん 海外は出張で2回行きました。香港とシンガポールです。

ー 海外での焼酎の知名度は?

森さん う~ん。やっぱり知名度では、日本酒が一番。最初から焼酎を知っている現地の方はそんなにいませんでした。ただ、日本料理の飲食店に行くことも多かったのですが、焼酎はちゃんと置いていました。

ー 日本国内はほとんどの県に行きましたか?

崎本さん 全国を回ったんですが、すべての県には行っていません。東京、大阪、名古屋、福岡などの大きな都市に行く機会が多かったですね。北海道も行きましたけど、楽しかったです。

森さん 北海道の人にも焼酎は結構人気でした。鹿児島で開かれる北海道物産展の売り上げは、地方の物産展で一番らしいのです。暖かいところの人は、寒いところにあこがれるし、逆に北海道の人たちは暖かいところにあこがれるんですかね。鹿児島に行ったことはないけど、物産展があればいつも来るという方はいました。

ー 森さんはお湯割りを広めたいと言っていたけど?

森さん 鹿児島から離れれば離れるほど、お湯割りの文化は伝わってないなと思いました。メーカーさんが試飲の時にお湯を持ってきたりしていたので、小さなところから文化を広げていかないとな、と感じます。

ー 黒糖焼酎の評判はどうでした?

崎本さん 「えー、黒糖焼酎ってあるんだ。え、砂糖でしょう、甘いの?」。そんな反応が多くて。焼酎は糖質ゼロと説明したら「そうなの」と驚かれましたね。黒糖焼酎を知らない方、特に女性は驚いていました。

森さん 黒糖焼酎の方が売れることもありましたね。初めて知ったから、試してみたいとかで。

デパート勤務の人から接客術を盗む!

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ー 接客にも慣れたんじゃないですか?

森さん 知らない人に声をかけるのがうまくなった気がします。任期の最後の方は、自腹で買った飴(あめ)を用意して、飴を渡すついでにお客さんをつかまえたりしていました。いきなり「焼酎どうですか」と言ってもお客さんは立ち止まってもらえないので。「きょうは雨が降ってました?」「きょうはご家族でお出かけですか?」など、世間話から入る方法を身に付けました。お客さんを立ち止まらせる声掛けが、積極的にできるようになった気がします。

イベント会場のデパートに勤めている方を見ていると、自然と学ぶんですよ。接客風景を見て盗んだり、実際に話を聞いて参考にしたり。「なるほど、なるほど」と思いながら、楽しんで接客していました。2人とも、お客さんの気を引く訓練は、かなりしたと思います。

ー やりますね~。崎本さんは、航空会社の客室乗務員を目指していると言っていたけど、接客は重要ですよね。

崎本さん 私はお客さんと一緒に話をして、「来てよかった」「楽しかった」と思えるような接客を心がけていました。自分もお客さんと話しているとすごく楽しくて。お客さんの年齢層はけっこう高かったんですけど、「鹿児島から来たんだね、暑いところなんでしょう」とか、何気ない会話も楽しかった。

黒糖焼酎の紅茶割りはおすすめ!

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ー 2人とも、若者に焼酎の魅力を伝えたいと言っていたけど、手応えのようなものは感じましたか。

崎本さん 鹿児島県と市町村合同の企画で、自治体の広報誌の取材を受けたんです。そこで「黒糖焼酎のおススメの飲み方は?」と聞かれて。私は「紅茶割り」がおいしい、というお話しをしたんです。広報誌を私の知り合いが多く見てくれていて、先輩や友だちが「紅茶割おススメなんだってね」と関心を持ってくれて、うれしかったですね。

ー 焼酎は自由な酒ですからね。僕はおいしいと思ったら、どんな飲み方でもいいと思うんです。崎本さんの「紅茶割り」は造り手からは出てこない発想だと思うんで、2人には焼酎の新しい楽しみ方をどんどん発信してほしいです。

森さん はい。焼酎はいろんな飲み方があって、楽しいですよね。

女子はデザインから焼酎に入る!

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鹿児島随一の繁華街・天文館で

ー 焼酎のラベルのデザインは筆文字とか男っぽいものばかり。最近取材した田崎酒造の「ツン」は、女子ウケしそうなラベルだなと思いました。若い女性の2人から見て、焼酎のラベルってどう思いますか?

森さん ツンはかわいいですよね。女性のお客さんはまず、パッケージからなんです。それと、アルコール度数。試飲会場で銘柄がたくさんある中、アルコール度数が低めで、しかもピンク色のかわいい瓶とか。そういったものから「飲んでみたい」という女性客の方が多かったです。

ー 「恋する焼チュウ」とか、女子ウケする感じですか?

森さん そうですね。ピンクがかわいいとか、ラベルの絵がかわいいとかで商品を選んだりする。それは女性ならではの視点です。空き瓶に花を挿したくなるようなデザインがいいですね。いろんな飲み物を買うときに思います。

ー 確かにインテリアになる瓶は歓迎です。でも、焼酎は男っぽいラベルが多いですものね。

崎本さん それは、それで、かっこいいですけどね。

ミスの衣装って、もう着る機会がない…

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ー そう言えば、ミスの衣装ってどうなったんですか?

森さん、崎本さん いただきました。

ー この先、着る機会ってあるんですか?

森さん、崎本さん ないです…。

ー 結婚式の余興ぐらいですかね?

崎本さん 着るかな? コスプレみたいになっちゃいますよね(笑)。

森さん 着ないですよ! ハロウィンぐらいかな。いや、着ないですよ(笑)。

ー なかなか着れるシーンはないですよね(笑)。ところで、崎本さんが留学するスペインには焼酎はないんじゃないかな。スペインと言えば、ワインかな?

崎本さん スペインのワインは楽しみです。でも、焼酎が恋しくなるだろうな。うん、ぜったいなるなあ。ワインで二日酔いになったときは、「焼酎なら二日酔いにならないのに~」とか思うんでしょうね(笑)。

ー 森さんは、鹿児島で生涯芋焼酎宣言ですか?

森さん 宣言しようかなぁ(笑)。

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森万由子さん

1995年生まれ。鹿児島市出身。鹿児島大学法文学部に在学中。好きな焼酎の飲み方は「お湯割りです」。

ミス薩摩焼酎,森万由子,芋焼酎,ミス奄美黒糖焼酎,九州焼酎島崎本彩さん

1995年生まれ。川崎市で生まれ、幼少期から鹿児島市で育つ。鹿児島大学法文学部に在学中。好きな焼酎の飲み方は「水割りです」。


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