福岡県と言えば麦焼酎、それは「古久」
ブームが去って、どんどん熟成進む
福岡県に長期甕(かめ)貯蔵の「古久(こきゅう)」という、ちょっと高級な麦焼酎がある。福岡の焼酎製造メーカー9社が共同で立ち上げたブランドで、「福岡と言えば、麦焼酎」というイメージ拡大を狙った商品である。
この「古久」が今、岐路に立たされている。
焼酎ブームが去り、さっぱり売れない。だから、在庫が減らない。モノ自体は素晴らしいのに、宝の持ち腐れ状態になっている。将来的な展望が描けない中、「古久」を製造する蔵は一社が撤退し、8社となった。
40度以上で5年以上熟成の「古久」
「古久」について、説明しておきたい。
「古久」は参加8蔵が、それぞれ独自に造っていて、すべての味が違う。大きな特徴は、アルコール度数40度以上。まるで高級なウイスキーを彷彿とさせる。世にあふれる安価な焼酎とは一線を画している。
「古久」を名乗る上で決まりも多い。まず、40度以上の原酒でなければならない。つまり、他のお酒をブレンドして、味を整えたりしてはならない。シングルモルトウイスキーに似ている。
そして、5年以上、かめに貯蔵しなければならない。手間ひまかけて、ゆっくりと造ることに価値を置いている。
そこには、日本全国に、そして、世界に誇れる本格麦焼酎にしたい、という蔵人たちの矜持がある。
他の原料の焼酎と比べて、麦焼酎の魅力は、長期の貯蔵・熟成である。ゆっくり長い期間寝かせれば、まろやかになる。
「古久」は、福岡県南部の八女市黒木町にある旧国鉄のトンネルを貯蔵場所として借りた。年間を通して、気温、湿度が安定し、蒸留酒の貯蔵には抜群の環境。そこで5年以上かめで寝かせ、極上の麦焼酎を生み出す。
焼酎王国・九州で福岡イメージは薄い?
九州では本格焼酎の93・5%が製造されている。関東、関西などの人たちがイメージする九州の酒は、焼酎である。ただ、多くの人は、福岡県の焼酎のイメージがわかないらしい。
鹿児島県や宮崎県と言えば、芋焼酎が思い浮かぶ。大分県は、麦焼酎の一大生産地だ。長崎県には、麦焼酎発祥の地として知られる島、壱岐の「壱岐焼酎」がある。熊本の人吉・球磨地方は「球磨焼酎」と言われる米焼酎の産地だ。
福岡県は、肥沃な筑紫平野の穀倉地帯を抱える。だから、代表格を麦焼酎としている。しかし、全国的な麦のイメージと言えば、大分麦焼酎、壱岐焼酎が先行している。
「福岡と言えば、麦焼酎」という産地イメージを高めたい。1992年(平成4年)11月1日、「古久」のかめが初めてトンネルに入った。
2000年代初めの焼酎ブーム。「古久」の製造・販売は順調に進んだ。
しかし、ブームが去り、いつしか売れなくなった。貯蔵開始から四半世紀が過ぎ、これからどうすべきか、各蔵が頭を悩ませる。
売れないから、20年以上熟成のお宝・古久が誕生
ただ、希望はある。
販売が思うように進まなかった結果、貯蔵・熟成が進んだ。各蔵で10年以上の長期貯蔵の「古久」が生まれ、中には20年以上の熟成を経た「古久」が誕生した。“お宝”と言える麦焼酎に成長したのである。
年月はお金に換算すると、とんでもない額になったりする。
2018年1月、サントリーのシングルモルトウイスキー「山崎50年」が香港のオークションで、3250万円で落札されたことが話題となった。
ただ、「古久」は、庶民にも簡単に手が届く。むしろ、重ねた年月を考えれば、とってもお得な値段で手に入る。
皮肉なことに、消費が鈍っていたおかげで、「古久」は今、最高にプレミアムな蒸留酒なのだ。
全8蔵の古久がそろうのは、こちらだけ。
http://www.ebisu.ltd/shopbrand/kokyu/
古久を製造する蔵の紹介はこちらから。
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