香ばしい麦焼酎の蔵、研醸

人参焼酎でも有名

福岡県三井郡大刀洗町、筑後川沿いに広がる田園地帯の一角に研醸（けんじょう）がある。研醸といえば、「にんじん焼酎　珍(めずらし)」が有名だ。「あたり一帯でにんじん栽培に取り組んでいて、規格外を何かに活用できないかとのことで、にんじん焼酎を造るために、昭和58年、研醸が生まれました」と話すのは、古賀利光社長。当時、野菜から造る、にんじん焼酎は珍しく、瞬く間に全国へと広がった。

完全麦焙煎焼酎、「こふくろう」「梟」

現在、力を入れているのが、「完全麦焙煎焼酎」だ。焙煎した掛麦で造る「麦焙煎焼酎」をさらに進化させ、麹用にも焙煎した麦を使用(特許取得)する。香ばしい香りや味わいに、磨きをかけ続ける。「こふくろう」の銘柄で販売中。樫樽で長期熟成させたのが、「梟（ふくろう）」で、ウイスキー好きにも人気。

この「完全麦焙煎焼酎」に、樹の上で完全乾燥するまで残したドライオンツリー栽培でつくられている、貴重な珈琲豆を焙煎し漬け込んだ『珈琲＆焼酎「新黒」』も自信作だ。

焼酎の常識にとらわれず、今までにない新しい味わいを見出し続ける研醸。「小さな蔵だからこそ、できることをやっていきます。知恵や技術をみんなで出し合い、話し合いながらつくっています。これからも『焙煎麦』に磨きをかけ続け、10人のうち５人、いや３人でも、『この香ばしさが好き』とファンになって飲み続けてもらいたいです」と語る古賀社長は、静かに熱い。

焙煎麦焼酎の原酒を使用、まろやかな味わいの研醸の古久

研醸の古久は、減圧蒸留した「焙煎麦焼酎」の原酒だ。かめ壺で寝かす。「うちは、減圧蒸留なので、常圧と比べるとスッキリとした味わいです。スッキリとしながらも、５年以上寝かすことで、まろやかさが出てきます。舌も鼻もささないやわらかさで、気持ちトロっと濃密に。寝かせば寝かすほどやわらかくなっていきますよ」。

焙煎麦にこだわる研醸の古久。香ばしい味や香りを堪能したい。

（取材・撮影　吉村真理子）

 

研醸

http://www.e-kenjou.com/

福岡県三井郡大刀洗町大字栄田1089

0942-77-3881

 

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