「売る人」たちが、今惚れ込んでいる焼酎を語る。
~ 「かごっまふるさと屋台村」2代目村長 林大智さん ~
本格焼酎をお客に振る舞う人たちがいる。
飲食店や酒屋。彼ら、彼女らは、味に敏感だ。ブランドにとらわれず、自らがおいしいと思える焼酎を常に探し求めている。
「売る人」たちが、今惚れ込んでいる焼酎を語る。
僕は芋焼酎しか飲みません。
僕は芋焼酎しか飲みません。やっぱり鹿児島の料理には焼酎が一番合っていると思うんですよ。甘いしょう油に甘い味噌。何もかも甘い料理ですからね。だから、僕なんか、東京に1週間もいたら頭がおかしくなりますよ。「甘いしょう油がほしい~」ってね(笑)。
「村長」って肩書は、屋台村の店舗のまとめ役なんです。屋台村の運営自体はNPO法人がしています。それとは別に村にある25店舗の代表者で「村民会」をつくっています。そのトップが村長なんです。だから、僕も2代目の村長を務めたんですけど、もともとは「SATSUMA」という店舗の店主にすぎません。
どうしたら屋台村で楽しんでもらえるか
もう3代目に村長は譲ったんですけど、開業以来、みんなでお客様目線で楽しめるようなルールをつくってきました。村民会では各店舗でバラバラだった席数を統一して、通路を通りやすくしたり。店によっては取っていたテーブルチャージ(お通し代)を全面的に廃止して、お客さんが各店舗を回りやすくしたり。お客様目線で、どうしたら屋台村で楽しんでもらえるか考えたんです。
いろんな店をのぞいてもらいたい
屋台村って、1店舗だけで飲食するんじゃなくて、いろんな店をのぞいてもらいたいんですよね。1店舗だけ売り上げが上がればいいというわけではなく、全体の売り上げが上がれば、各店舗も潤うという考えなんです。実際、改革を進めてきた結果、2015年度の屋台村の売り上げは2012年4月の開業以来、過去最高の6億7000万円を記録しました。今年度も順調に売り上げをキープしています。
屋台村にいると鹿児島のことが好きになる
屋台村は今や、鹿児島を代表する食の観光地と言えます。開業以来の来場者は2016年11月で、のべ200万人を超えました。地元客が5割で、残り半分は県外からの観光客ら。そのうち1割が海外からの旅行客です。お客さんのコミュニケーションの場でもあるので、全店舗でテレビやモニターの設置は禁止。だって、映像を見ていたら会話がなくなるでしょう。知らない客同士が互いの地元自慢をしたりと、夜な夜な盛り上がっているのが屋台村なんですよ。
僕は鹿児島県薩摩川内市の出身なんですけど、屋台村にいると鹿児島のことが好きになっている自分に気づくんですよ。地産地消だったりとか、鹿児島の玄関口としてのおもてなしの場だとか、屋台村のコンセプトを守れば守るほど、鹿児島のことを知ることができるんです。そして、知れば知るほど、好きになる。ここに来るまで、「鹿児島のために」とか考えたことはありませんでしたから。
「鹿児島を盛り上げたい」
昔から何か商売をしたいな、と思っていて。25歳の時に天文館で居酒屋を始めたんです。当時は自分の店のことしか考えてなかったですね。いかに安く食材を仕入れて、儲けるかしかね。でも、屋台村に店舗を構えて、村長までやって、考えががらりと変わったんですよね。ここには仲間がいて、一緒にイベントをやったりして、情報発信もどんどんできて。とにかく今は、鹿児島を盛り上げたい。地方創生に興味があって、人を呼び込める街づくりがしたいんです。そこにゴールはないんですけど、ことしで40歳と節目の年を迎えるので「後世に残せることをやらなきゃ」という気持ちでいっぱいなんです。
焼酎の話
なんだか、焼酎の話をほとんどしてないですね(笑)。
ちなみに、僕は店をやりながら、屋台村で毎晩、芋焼酎を飲んでますよ。銘柄ですか? いろいろありすぎるなあ。おススメは姶良市の白金酒造に造ってもらっている屋台村のオリジナル芋焼酎ですね。全店舗で、1杯200円(税別)ととってもお得な値段で提供してます。薩摩川内市で言ったら山元酒造の「五代」とか。オガタマ酒造の「鉄幹」もあるし、「田苑」もあるし。あっ、「村尾」も薩摩川内ですよ。甑島には「五郎」も「六代目百合」もあるな。一部は屋台村で取り扱ってませんが、おいしい焼酎ばかりです。
若いころは、かっこいい先輩がお酒を飲んでいる姿にあこがれて、真似してバーボンを飲んだりしたもんです。若者の酒離れはかっこいい飲み方を教えてくれる人がいなくなったからかな、なんて思うんで、店のカウンターに座って芋焼酎を飲みながら、渋い後ろ姿を見せてます(笑)。
いつもは、焼酎2合ぐらいでしょうか。でも、10日に1回ぐらい記憶をなくします(笑)。そうとう、飲んでるんでしょうね。でも心配しないで下さい。記憶をなくしても、僕はきちんと家に帰り着いているし、他の人に絡んだりか、説教したりとか、迷惑をかけてないようですよ。だから、安心して屋台村に遊びに来て下さい!
プロフィール
林大智さん
1977年、鹿児島県薩摩川内市生まれ。実家は養鰻業をしていて、養鰻場をつくろうと思って井戸を掘ったら、ものすごく質の良い温泉水が。兄が社長を務める会社が「薩摩の奇蹟」として売り出している。林さんの屋台村の店「SATSUMA」は、薩摩の奇蹟を使った黒豚のしゃぶしゃぶがおススメ。焼酎の割り水にも温泉水を使う。