九州焼酎島

2016/08/26

ゆったり焼酎日和 | 第22回 焼酎と晩酌

晩酌が楽しい。

もともと、自宅での夕食時に、酒はほとんど飲まない。飲む時は、外で、というタイプである。それがこのところ、晩酌にはまっている。毎晩が、楽しみでしかたない。

きっかけは、焼酎人にも登場している、万膳尚幸さんが店主を務める万膳酒店に行ったことだ。万膳と言えば、近ごろは入手困難で知られる「萬膳」を造っている酒蔵もある。この「萬膳」を飲みたい、とほのかな期待を抱いていたら、店内には、僕でもよく知っている銘柄が並んでいた。

「村尾」「魔王」「伊佐美」のプレミアムのほかにも、「なかむら」「大和桜」「薩摩茶屋」などの実力派芋焼酎の数々。店主が自ら納得いく焼酎を置いているから、知らない銘柄でも試してみたくなった。そこで、念願の「萬膳」を手に入れたついでに、「伊佐美」「大和桜」「磨千貫」の3本セットを買って帰った。

自宅に着いて思った。そういえば、うちには京屋酒造の「甕雫」があったんだ。ちょっと焼酎を並べてみるか。うん、なかなかいい景色じゃないか。並んだ焼酎を眺めているうちに、それぞれを飲み比べてみようかなという気持ちになった。暑いし、水割りでもやってみるかと飲んでみたら、「これはうまい!」

そんなこともあって、すっかり晩酌にはまった。正確に言うと、焼酎の水割りにはまった。「焼酎好きは、夏でもお湯割りだろ」と、にわか焼酎党をきどっていただけに、今さらながら、夏の水割りのうまさは衝撃的だった。

僕は、グラスにたっぷり氷を入れて、キンキンに冷やしたところで焼酎を注ぎ、水を少なめに入れている。はじめは濃い目でちびちびと飲み、氷が溶けてきたらグイグイと飲み干す。このルーティーンが楽しくてしかたない。

今日はどの焼酎を飲もうかな、と選ぶのも楽しい。「磨千貫」はうれしい発見。本坊酒造が造っている。正直、大きな会社の焼酎にあまり思い入れはなかったんだけど、これはうまい。飲んだ後に、バニラのような香りを感じて、すっかり気に入った。

「甕雫」はまろやかさナンバーワンでスイスイ飲んでしまうし、「萬膳」は食事との相性がベスト。焼酎と言っても、それぞれに特長があるもんだな、とあらためて感じている。

猛暑はまだまだ続きそう。だから、水割りの「ダレヤメ」もしばらく終わりそうにない。

(渡邊精二)


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